真空管をご存じですか?
昔は送信部分を構成する終段には現在のような半導体では無く真空のガラス管に素子が封じ込まれた「真空管」と呼ばれる電子管が使用されていました。現在の半導体製造技術は安定しており歩留まり(製品になる確率)が高く問題ないのですが当時は悪く直ぐに故障につながったものでした。なので、終段部分のように大きな出力を扱う部分は半導体ではなく「真空管」が使用されることが多かったのです。現在でも放送局のような大出力は当然まだ真空管が使用されていますが。

写真の球(たま)は、以前JA2EQ加藤OMに譲って頂いた2B29(829B)です。真空管はトランジスタと違って無理がきくのでアマチュアが使うには都合がいいのです。この球は当時VHF帯のリニアアンプを自作する人たちに人気で憧れの真空管でした。
真空管は、別の楽しみ方もあります。オーディオファンの中には真空管の灯に惚れ自作アンプを満足げに楽しむ人も多かったのです。
信号が流れるたびにチカチカと青白い光を発する「2A3」と呼ばれる三極管もありました。アマチュア無線の世界も変わらず、いまだに真空管にこだわるOMさんが居られるのも事実です。
QSOをワッチ(受信)していると何か底力のある局がいます。リニアアンプ使用かと思って聞いていると、ご本人がリグを紹介され真空管を使った八重洲のFT DX400と言っておられました。
お気に入りのリグは長く使用することで、その機械が持つ癖が分かってきます。同時に愛着も湧いてきて離せなくなります。皆さんの乗っておられる自家用車にも同じことが言えます。